休むことも許されず、笑うことは止められて、
はいつくばって、はいつくばって、いったい何を探しているのか。
夢の中へ行ってみたいよー。
『それより僕と踊りませんか?』
なんて誘われたら、戸惑いながらもちょっとワクワクして手を取っちゃうと思うんです。
頑張って頑張って、いっぱい探したのを知ってて。それを認めたうえで、「それより僕と踊りませんか?」なんだよ。
きっといろんなことが見えなくなってる。休むことなく、笑うことなく、ただただ必死で見つからない何かを探している人にそっと手を差し伸べる。
井上陽水の「夢の中へ」の歌詞なんだけどね。
探し物は何ですかー見つけにくい物ですかー
ってフレーズが有名なあの曲。
でもこの曲、最後まで誘うだけなんだよ。
そっと手を差し伸べて、夢の中へ行ってみたいと思いませんか?って問いかけるだけ。
たったそれだけの曲で、その手をどうしたとか、夢の中ってどんなとことか、そういうの一切無いの。
うわー、胡散臭いなーって、ならなくもないんだけど。
でもね、これ、別に夢の中とかどうでもいいのかもしれなくて。
なんなら夢の中なんてのは口から出ただけの空っぽな誘い文句で、実際にはそんなのなんにも無いのかもしれない。
でもそれでいいんだよね。
ひたすらひたすら頑張ってる人に、あなたが頑張ってるのは知ってますよ、だから何も見つからなくても不安に押し潰される事はないですよ、ちょっと違う景色でも見てみませんか、そしたら不意に何かが見つかるかもしれませんよ。って、優しく問いかけてるだけなの。
目の前の、足元の、指先の何かしか見えてない誰かには、きっとその一言が大事で、顔を上げて周りを見た瞬間に世界は少し変わるんだよね。
この歌に詳しいわけではないから、どんな意味や想いが込められてるのかは知らないけれど、だけどシンプルな歌詞だからこそ、人それぞれの、自分に合った解釈で受け止めればいいんじゃないかと思う。
俺はただ、頑張ってる人に寄り添う優しい歌だなって思っただけ。
自分が周りが見えなくなってるとき、ふと聞きたくなる曲だなって。
この曲は誰かのために歌いたい曲で、でも自分の為にそっと抱いて生きていきたい曲でもある。
『探し物はなんですか。
見つけにくい物ですか。』
一番有名なこのフレーズのその先も、もっと知られたらいいのに。
ちなみに片想い中の青年が、いつまでも自分に気付かない恋に恋する乙女に「僕と踊りませんか?」って声をかける歌、という解釈も好きです。
オタク魂が震える。